百年住宅はよく聞くけど、「100年農業」はあまり聞かない。何年先を見据えた農業を、今するのか。

百年住宅はよく聞くけど、「100年農業」はあまり聞かない。何年先を見据えた農業を、今するのか。

今回は、毎日のように田んぼを見て、日常が農業に触れあっている私が、率直に感じていることをテーマにしてみました。

人生50年から、今は人生100年の時代。

平均寿命は、だいたい80~87歳。

健康寿命は、おおよそ72~75歳。

「平均寿命から100歳まで10数年差があるじゃないか。言ったとしても人生90年じゃないか」

と感じなくもないですが、

人生50年の時代も、おそらく長く生きた人で50歳ぐらいとするならば、

データ的には、いろいろとみられるけれど、人生100年の時代に突入!といってもおかしくはないのでは、と。

特に今年40歳になった私ぐらいの世代から、年金が当たるかどうか不安になり、生命保険の積立年金などに加入する人も多くなったのではないでしょうか。

20代なのに70歳以降の収入源の心配をする。

限られた収入の中から、どれだけ積み立ての方に回せるか、悩みに悩まれている人も、私も含め多いと思います。

特に子供が生まれると、18年先のこの子の大学の費用が心配になり、自分の積立を減らし、学資保険に回すかなどと、これまた悶々とします。

住む所を考えても、毎月家賃を払って結局自分のものにならないのなら、お金はかかるけれども払った分、確実に自分のものとなるマイホームにしようか、どうか。

家を建てるのならば、高くついても丈夫そうな100年住宅にしようか、どうか。

先輩からは嫉妬され、その毒の入った報告を真に受けた上司の勘違いでいじめられ、同期や部下からは励まされ応援されても、暴力的、暴言的な嫌がらせの日々だから、この我慢もいつまで続くかわからないし、仕事を辞めるにしても、仕事に自信があっても、もうこの年だし。

そして、このご時世。

10年先は何とかギリギリの若さで乗り越えられても、20年先ともなると、どうなるやら。

ローンを組んでも払えなければ、取り上げられる。

でも結局、賃貸であっても同じか。住めなくなるし。

なんか、こんなことを書いていたら、切なく寂しくどんよりしてくるし、何よりも、「このブログって米農家のブログだよね?」という事になる。

なぜにこんな話になったかというと。

農家として、日々思う事は、わが身や、妻、子供、家などの、日常の事は、このように10年先、20年先、50年先を考えるけれども、はたして、農家で、またそれに関係する人で、そのように50年、100年先の土を、また環境を考えている人は一体どれだけいるのだろうか、と。

こういう書き方をすると、自分だけ考えて、他の人は考えていない、そう主張する自分至上主義のように思われるかもしれないけれども、私自身は大したこともないことは、自分がよく知っているので、日々研究、勉強、研鑽するしかないと思っている次第です。

同じ石川県内でもたくさんの農家の方が頑張っておられます。

皆さんものすごい技術を持たれている方ばかりです。

だって、石川県の農業を支えてきた方々ですから。

その皆さんが、20年、50年、100年後を考えて、必ず何かされているだろうなと、感じていますが、どういうことをしているのか、実は知りたいなと、思っていました。

きっと色々な意見があって、面白いだろうな、と思っています。

まずは、人様の事をあれこれ言う前に、自分は何をしているのか。何を考えているのか。

 

私は、自分のできることとして「譲る米農法」を広げていきたいと考えています。

土が生き返れば、生態系が生き返る。

生態系が変われば、環境も変わる。

この様に思っています。

今、

「土が瘦せてきている」

「土がこけてきている」

「地力がなくなってきている」

「土に元気がない」

「土が硬くなってきている」

「田んぼの水はけが悪くなってきている」

「土に保水力がない」

「土の中の微生物が減ってきている」

「土の中に病気の菌が多い」

「土が病気になっている」

「連作障害が出るようになった」

「この田んぼだけ、よう病気になる」

などなど、「土が衰えてきている」ことを感じている方は多い様に思います。

化学肥料ばかりだから、土が衰えてきた。

有機肥料で使って、土を元気にしよう。

最初は良かったけど、有機肥料だけでも、育ちが悪くなった来た。

どうしたらいいんだろう。

いいと聞いたから、これこれの資材を入れてみよう。

最初は良かったけど、翌年から、また、育ちが悪くなった。

何が原因なんだろう?

う~ん。

この繰り返しで、もんもん、もんもん、している農家の方、家庭菜園の方は多い様に思います。

農家の生活保障がされているヨーロッパなどや、広大な土地のあるブラジルの奥地などでは、一年農産物を作っては、一年何も作らずに休ませて、もしくは、緑肥となる草の種を蒔いて、それをすきこみ、土づくりタイムを、一年ごとにしている所もあると、聞いたことがあります。

日本の場合、一年間何も農作物を育てずに放置するなどは、割にあわないから、まずできませんが、実は、「土づくり」ということは、簡単なように思えて、実は奥深い、時間のかかるものなのです。

化学合成肥料や、化学合成農薬が使われるようになり、農家の負担は、かなり減りました。

これは紛れもない事実です。すべての農産物において、化学肥料や農薬を使わずに、やっていたら、農家は心身ともに疲れ果て、潰れてなくなってしまうでしょうし、そうやって、ぜえぜえハアハア息をしながら何とか頑張って育てたとしても、虫食い跡や、虫がついていたりしたら、ほとんどの人は買わなくなることかと思います。

きっとスーパーの野菜コーナーにいくと、青虫、毛虫、芋虫、ダニ、クモがうじゃうじゃ歩いている、何とも近づきにくい、どえらいことになります。

こうなったら、誰も報われません。

だけれども、こういう声も聞いたことがあります。

化学肥料や農薬を使う様になって何年もしてから気づかれた方がいましたが、

ワシが子供の頃は、ここに蛍とか蛇とかカエルとか、たくさんおったんじゃが、今は、ようおらん

化学肥料や農薬で、消毒やら殺虫剤を使うから、小さな虫がおらんようになって、それを食べるカエルも減って、それを食べる蛇もへったんじゃろうて

だから、あんたがあのこやしで野菜作り始めてから、蛇も見るようになったし、カエルも夜元気になくようになった

以前、山沿いの畑を借りて野菜作りを、無農薬で、また、「譲る米」と同じ廃棄野菜を再利用した有機肥料でしていたことがありましたが、一年くらいで、そういわれました。

今でも忘れられないのが、肥料を上から蒔いた次の朝だったか、電話がかかってきて、

小鳥が一杯集まって、肥料食べとるようだけど、大丈夫なん?

こういう事もありました。

もともと食べられるもので作られたものだから、よっぽど美味しかったのでしょう。

また、こういう事もありました。

肥料を上から振りかけていたら、犬の散歩中の近所の方が来られたことがありました。

そうしたら、その方と話している最中に、そのワンちゃんが、その肥料をペロペロなめ始めたのでした!

もともと食べられるもので作られたものだから、よっぽど美味しかったのだろう、と。

しかもワンちゃんがなめるほどだから、よっぽどいい香りがしたんだろう、と。

たった、それだけの期間で、これほど、生き物の生態系が変わるのだろうか、と。

こんな短期間で、根本の一番大切な土が、変わるんだな、と。

そんな短期間で変えた、廃棄野菜や果物を利用した有機肥料は凄いな!

わずかな期間で土を変えた、バランスのいい土壌菌たちの働きは抜群だな!

その時は、以前の仕事の合間に、趣味としてやっていたのですが、

「いつになるかわからないけど、環境にいいことを、土が元気になることをしたい。子供がミニトマトを植えた時に、自ずと実をつけてくれるような、そんな活力ある土を遺していきたい。自分で植えた野菜の実を見て笑顔になる子供の顔を見てみたい!実がならないと悲しむ顔は見たくない」

と、将来のやりたい事リストの一つにありました。

それを今実践しています。

野菜は良かったけど、お米ではどうだろうか。うまくいくだろうか、と心配は正直ありました。

一般的な野菜とお米の生育で全く違う所は、お米は水田で育てるということです。

水を張っている場合は、水田は無酸素になりやすいからです。

そうすると、土壌菌が一部休眠状態に入ったり、死んでしまったりしてしまうからです。

それでも、毎年外から、優秀な土壌菌たちを追加すれば、減っても、追加しない場合に比べれば、断然いいだろう。

土壌菌たちの生き残る可能性も増えるし、間違いなく、土壌菌たちが減っていくことを防げるだろう、と。

そう確信をもってやっています。

実際の結果として、稲が元気に育つので、病気の対策の農薬は使用しなくても被害はなかったですし、害虫の被害もありません。

黒い点、黒い粒、などの黒いお米はほぼありません。

ゼロではないですが、色彩選別機でほぼもれなく飛ばせるぐらいしかありません。

なので、お客様のお手元に届く時には、綺麗なお米だけになっています。

無農薬のお米に、そういった黒いお米が混じるのは、それだけ圧倒的にカメムシ被害のお米が多いという事です。色彩選別機でも処理しきれないほどの量があるからです。

土が元気になれば、稲も元気になります。

稲が元気になれば、農薬を減らせます。

安心感は、もちろん、美味しさ、うま味、芳醇な香り、までついてきました。

いいこと尽くしです。

生き物がどう変わったのかは、正直まだわかりませんが、今は、ただ続けていくことが大切だと感じています。

その1年1年の、積み重ねが、50年、100年後の、

「生きた土」づくりに繋がり、

「生き物たち」との共生、

そういったものをひっくるめた「環境」作りになり、

「自然」を次世代に繋げていくことになると信じています。

私は40歳なので、生きていられるとして、取り組めるのは長くても40~50年くらいですが、その基礎を固めるのが、それを実現するための手段の一つでも選択肢を増やすことが、使命の一つのようにも感じています。

私の中の、「50年農業」、「100年農業」は、後継者、農業従事者の育成はもちろんですが、育った彼らが、農作物を作れる「元気な土」を遺していく、その方法の選択肢を増やしてあげること。それこそが、50年先、100年先の農業を考えるうえで大切な事だと思っています。

いろいろな考えがあると思いますし、これ!といった答えもないと思います。

その環境、土地であったもので、継続可能なものを見つけていきたいと思っています。

最後にせっかっくなので、そんな土壌菌の入った、廃棄野菜を再利用した有機肥料で育てたお米を紹介させて頂きます。

じっくり旨みを蓄えられるためか、生育が均一に進むためなのか、緑色の未熟米も少ないですし、白色っぽく見える胴割れのお米も非常に少ないです。

暑さに強いようにも感じます。

農薬の使用回数も、石川県の特別栽培米の基準(11回)の、さらに半分以下に抑えています。

種子消毒から、温湯を使った消毒を用いて、農薬を減らることに注力しています。

特栽の中の特栽、それが次の、譲る米、譲る米『夢』です。

【譲る米(コシヒカリ)】

譲る米パッケージ

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【譲る米『夢』(夢ごこち)】

譲る米『夢』パッケージ

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今、SDGsということが、小学校の教育の中でも頻繁に紹介されるようになりましたが、「譲る米農法」を実践することによって、こういう事に貢献できているのではないかと、考えています。

◆「気候変動」の影響を受けにくい、強い元気な稲が育つ。

◆「陸上資源」を大切にするために、廃棄野菜などを再利用した有機肥料を使う。

◆「水・衛生」に繋がるのは、化学合成農薬、化学合成肥料を減らしているから。

◆「持続可能な消費と生産」は、食品ロスを再利用して生産に繋げ、食の循環を実践しているから。

◆「海洋資源」を大切にするために、マイクロプラスチックを利用した化学肥料を使わずに、廃棄野菜を再利用した有機肥料を主に使っている。

SDGsの17項目中、自己判断ですが、5つに当てはまるのではないかと思っています。

あてはめようとしてやったことではなく、やっていたことがあてはまるというのが嬉しい所です。

50年後、100年後にも、自信を持って、元気な土を繋いでいきたいと思います。

よかったら「譲る米」も食べてみてくださいね。

 

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