第4世代のお米「循環農法」=「譲る米」。
第4世代のお米「循環農法」=「譲る米」。
今回のテーマは、いろいろなご意見がありそうです。
それでいいと思っています。
お米についてもっと話し合える、考えられるきっかけになればいいな、と思います。
さて、私がなぜ、
「譲る米」が
「第4世代のお米」だと考えているのか、
紹介していきたいと思います。
その上でこれはお願いなのですが、
「お笑いの第〇世代を今更パクったな」
とかいう野暮なツッコミはなしにして頂きたいと思います。
「案外、そういう表現の方が、お米の価値を再確認できるのではないかなぁ」
と思っての表現です。
そういうお米の価値の再確認の工程を通して、「譲る米」の魅力を、さらにお伝えできたらいいな、と思っています。
◇◇◇◇◇◇◇◇
【目次】
1.4つの世代の米づくり
①4つの世代
②第零世代
③第零世代の肥料
④第零世代の除草方法
2.第零世代~第一世代へ
①第ゼロ世代の問題点
②第1世代は生産力アップ
③第1世代のメリット-安定した品質、量、労力削減-
④第1世代の問題点と課題
3.第一世代~第二世代へ
①第2世代は「安心・安全」感アップ
②第1世代の問題点-農業従事者自身の健康被害-
③第2世代の問題点-詐欺行為-
④第2世代のメリット-美味しさが戻ってきた-
4.第二世代~第三世代へ
①第3世代は「安心・安全」感さらにアップ
②第3世代の問題点-コストの増大-
③第3世代の問題点-CO₂の増大-
④農薬は本当に悪者ばかり?
⑤自然農法は勉強になる
⑥自然農法はSDGsとの関りが少ない
5.第三世代~第四世代へ
①循環農法とは
②炭素循環農法
6.第四世代「循環農法」:廃棄野菜肥料・減農薬 栽培
①食品ロスの実態
(1)612万トンもの食品が廃棄
(2)規格外野菜を含めるともっとある食品ロス
②廃棄野菜を肥料として使おう!
③食品ロス削減への貢献!
④農作物同士の「命の継承」!
⑤廃棄野菜の再利用は、SDGsに貢献!
⑥「野菜が育てたお米」が日本を救う!
7.まとめ
◇◇◇◇◇◇◇◇
1.4つの世代の米づくり
「お米の価値の再確認」といいましたが、お米の栽培方法が時代とともに、
どのように変わってきたのか、
どのように注目を浴びてきたのか、
これから望まれるお米づくりとは何か、
というポイントに着目して、考えてみました。
①求められた4つの世代
◆第一世代「化学農法」:化学肥料・農薬 栽培
◆第二世代「有機農法」:有機肥料・無農薬 栽培
◆第三世代「自然農法」:無肥料・無農薬 栽培
◆第四世代「循環農法」:廃棄野菜肥料・減農薬 栽培
この4世代です。
【誰に求められたのか?】
◆第一世代「化学農法」:人に求められた
◆第二世代「有機農法」:人に求められた
◆第三世代「自然農法」:人に求められた
◆第四世代「循環農法」:いま、世界が求めている
第1~3世代までは、なんとなくイメージしやすいと思います。
この様に注目され、農法も研究され、ニーズも増えてきたように思います。
②第零世代
もちろん「第零世代」もあります。
農業の「始まりの世代」です。
「第ゼロ世代:無肥料・無農薬 栽培」です。
◆第ゼロ世代:無肥料・無農薬 栽培
③第零世代の肥料
ここでの肥料は、化学的に合成された肥料ではないという事です。
化学的に検査して作られた有機肥料のことでもありません。
家畜の糞尿や、人の下肥やら、落ち葉やら、そういうものを使っていた時代です。
家畜の糞尿や、人の下肥を使うとなっても、家々を回収して周り、均一にまき、土を耕す、この作業は間違いなく重労働でした。
想像できますか?
④第零世代の除草方法
草対策も同じです。
周りには木もたくさんあり、道のわきには、雑草が生い茂り、畦にも草が休まることなく生え続け、田んぼの中にも容赦なく生えてくる。
草は生えている数以上に、たくさんの種を落とします。
落ち葉掃除のように、抜けども抜けども、刈れども刈れども次々と生えてくる。
草が多くなると、虫も多くなる。当然害虫も多くなる。
スズメやイノシシなどの害獣も今とはケタ違いに多かったでしょう。
そんな中、時間があれば田んぼに入り歩いて草取りをする。
想像できますか?
2.第零世代~第一世代へ
①第ゼロ世代の問題点
第ゼロ世代は、肥料も除草も大変でした。
そんな世代も終わりを告げます。
大きな農業の革新があったからです。
それは、化学肥料の登場と、農薬の登場でした。
②第1世代は生産力アップ
今までの重労働だった作業が、大きく軽減されることになり、取り入れる人が増えました。
生産力の大幅な増強と、収入の安定が可能になりました。
また、誰でも同じ育て方をすれば、安定した品質のものがとり前になりました。
これが、第1世代「化学農法」の「化学肥料・農薬 栽培」です。
農薬については、1950年代頃から農薬の普及が始まったので、この頃をイメージしています。
化学肥料はもう少し早く、試験開始が、1893年だそうです。
化学肥料の方が半世紀早いかもしれませんが、大きな流れで世代分けしてますので、第1世代にひとくくりにします。
実際に、食べる側からしても、「農薬を使っていないけど、化学肥料で育てたお米」といってもピンときませんし、その時代、そこまで気にされていなかったようにも感じます。
その時の田園風景は、ちょうど「となりのトトロ」の時代です。
そういった意味でも、日本の貴重なワンシーンを再現したいいアニメですね。さすがジブリ!
③第1世代のメリット-安定した品質、量、労力削減-
第1世代のメリットとしては、「安定した品質、量、労力削減」などがあります。
品質といっても、大きさ、形、見た目の事です。糖度や栄養はこの場合の品質には、含まれません。
しかしながら化学肥料の効きは早く、収穫量は安定し、土づくりにかける今までの労力はかなり減りました。
一番は、農薬です。
栄養を盗み取る雑草を枯らし、害虫の温床となる草むらも減り、風通しがよくなるので、病気なども少しは減ったのかもしれません。
害獣も隠れる所が減りますので、もしかしたら、少しは忌避作用もあったかもしれません。
でもこの当時は、山に木も多かったと思いますし、害獣たちの食べ物は、山にあったはずなので、もしかしたらイノシシなどによる害獣被害は今の時代よりも少なかったかもしれません。
それとももしかしたら私の推測とは関係なく、被害はかわらなかったかもしれません。
なんにしましても、農薬により雑草が減り、草刈り、草取りの作業が減り、かなり楽になったことは間違いありません。
しかし、第1世代の「化学肥料・農薬 栽培」はいいことばかりではありませんでした。
④第1世代の問題点と課題
化学肥料の使い過ぎで、土や野菜や水に変化が起きてきました。
土や水の硝酸態窒素の含有量が増え、土は酸化され水は汚染され、問題視されるようになりました。
野菜も、甘味が減り「苦み」「えぐみ」が際立つようになりました。
原因も、野菜に含まれる硝酸態窒素(硝酸イオン)の含有量が関係していました。
農薬に関しても、人体への悪影響(特に子供の脳神経など)や土壌汚染、環境汚染、水質汚染などが危惧され始めました。
また農薬の怖さについては、ベトナムでの枯葉剤の事でもよく知られるようになりました。
現実に、農薬が残留した穀物で餌付けされたニホンザルに奇形が発生したという事例もあったようです。
化学肥料、農薬の使用により、土壌中の小生物・微生物が減り、土壌劣化も課題になりました。
問題はそれだけではなく、栄養素の減少もです。
野菜に含まれる栄養も、なんと減ったのです。
例えば、ほうれん草。
≪ほうれん草100gに含まれるのビタミンCの量≫
1950年:150㎎
1982年:62㎎
わずか30年でビタミンCの量が半分以下になりました。
昔と同じ量のビタミンCを摂取しようとしたら、2倍量を食べなくてはいけません。
化学肥料により、見た目の大きさなどはよくなりましたが、栄養素が減っていたのでは、結局2倍食べなければならないので、そういった意味では、収量が2倍になったとしても、あまり意味のないものになりますし、たくさん食べなければならないので、胃腸の負担も金額も大きくなります。
そういった視点を入れると、食に関して少し考え方が変わります。
環境や健康問題だけではないのです。
そこで、注目を浴びたのが次の世代です。
3.第一世代~第二世代へ
次の世代というのが、
◆第二世代「有機農法」:有機肥料・無農薬 栽培
つまり、有機栽培の時代です。
第1世代の「化学農法」では先に紹介しましたように、環境汚染、健康被害、食味・栄養の低下などの問題がありました。
①第2世代は「安心・安全」感アップ
有機農法も、「有機肥料を使いながら、減農薬」という農法でチャレンジされる方が多くなり、その中でも特にこだわられている方の中に、「有機肥料・無農薬」栽培が見られるようになりました。
販売を考えての付加価値での「有機肥料・無農薬」もあれば、
技術研鑽のための「有機肥料・無農薬」もあったと思います。
でもこういった理由での「有機肥料・無農薬」もありました。
②第1世代の問題点-農業従事者自身の健康被害-
それは、生産者、農業従事者自身の健康を守るため、という事です。
こういう事もあったそうです。
体調を崩した農業関係者の方が病院へ行き、血液検査をしたところ、血液中から農薬の成分が発見された、という事もあったようです。
お医者さんからは、「何か悩み事でもあったのですか?」と聞かれたそうです。
自分で故意に飲まなければ、検出されないような農薬量あったそうです。
また、当時は、そうでもしなければ体内に農薬が入ることはないだろう、と考えられていたことが窺えます。
その農業関係者の方は、イチゴ農家に資材を卸していた業者の方だったらしく、イチゴの収穫時期になると、1日で100個のイチゴを味見していたそうです。
農家に寄った時に、「食べてみて」と勧められ食べていたようです。
誰が悪いとかいうのではなく、「農薬」という事に対する知識が自他ともに少なかったことが原因だと思われます。
また当時は、「農薬」ごとの「残留農薬」に関するエビデンスも乏しかったのかと推測されます。
今は詳しく厳しく使用期間が明記されているものばかりです。
第1世代の「化学農法」は、1950年頃の話です。
1970年頃には、農薬に対しての不安が増え、無農薬栽培が注目されるようになったそうです。
しかし問題も出てきました。
③第2世代の問題点-詐欺行為-
「無農薬」ということにつけこんだ悪徳商法が増えてきました。
「無農薬」といいながら、その農産物から農薬が検出されるなどの、詐欺行為などです。
そこで、2001年には、国が腰を上げ、農林水産省から「特別栽培農産物」の表示基準が公表されました。
ということから、
◆第二世代「有機農法」:有機肥料・無農薬 栽培
の時期は2000年頃をイメージしています。
2000年といえば、シドニー五輪で高橋選手が金を獲ったり、介護保険制度がスタートしたり、旧石器の発掘で捏造が発覚した年でした。
これは私ごとですが、この「旧石器の発掘捏造」事件は、私の進路を大きく変えました。
もともと考古学をするつもりで大学に入ったのですが、この事件のせいで考古学に生涯をかけることがバカらしくなりました。
いざ晩年に、捏造で考古学研究がひっくり返されたとなると、「私の人生、無駄だった」という事になると思ったからです。
教授、助教授にも恵まれ、古文書にも興味があり勉強もしていたので、そちらに集中することにしました。
そして今、結局関係ないことを仕事としていますけども、2000年というとこういう事を思い出します。
2001年にはアメリカで同時多発テロがありました。
ちょうどロサンゼルスにいて、いろいろ考えさせられた時でした。
イメージ的には、この頃が
◆第二世代「有機農法」:有機肥料・無農薬 栽培
の時代です。
④第2世代のメリット-美味しさが戻ってきた-
化学肥料から有機肥料になり、農産物に美味しさが戻ってきました。
「子供の頃の味や」
「甘い」
「おいしい」
「旨みがある」
などと感動の声が聞かれたそうです。
といっても、見た目は、安定した品質と収穫量のある化学肥料栽培から、不安定で労力の増える有機肥料栽培に移る農家の方は、それほど多くありませんでした。
今は有機肥料の研究がすすめられ、栽培に取り入れやすくなりましたが、最初はデータもなく、一から栽培方法を見直さなければならないので、大変だったと思います。
化学肥料と有機肥料では、施肥してからの効き方も変わりますし、土の中での腐敗ガスの出方も違います。
根を痛めずに栄養を吸って欲しい時に、吸わせる、そういったタイミングの見極めが大変だったと思います。
今でも「化学農法」で育った農産物の方が圧倒的に多いです。
農薬の使用に関しては、味にはそんなに変化が出ないため、「無農薬」「減農薬」のイメージによる安心感が、それを求める購入者の不安を取り除き、心を満たしてくれたことと思います。
その中でも、さらに安心・安全・満足・こだわりを求める消費者が現れ始めました。
それが次の第3世代です。
4.第二世代~第三世代へ
「有機肥料・無農薬栽培」よりも、さらに安心・安全・満足・こだわりを求めた第3世代とは、
それは、
◆第三世代「自然農法」:無肥料・無農薬 栽培
です。
この自然農法を「自然栽培」ともいいますが、有名にしたのは木村さんの「奇跡のリンゴ」の映画や、「奇跡のリンゴ 絶対不可能を覆した農家・木村秋則の記録」という本でした。
木村さんの自然栽培は、
◇2006年:NHKの番組での注目
◇2011年:「奇跡のリンゴ」著書がベストセラー(26万部)
◇2013年:「奇跡のリンゴ」映画が興行収入10.2億円(2014年1月)
ですので、
◆第三世代「自然農法」:無肥料・無農薬 栽培
のイメージは2010年頃です。
2010年と言えば、鳩山内閣から管内閣に変わった年でした。
小惑星探査機「はやぶさ」が7年ぶりに帰還した年でした。
2011年には、サッカーでなでしこジャパンが「W杯優勝」しました。
その頃です。
「自然農法」の基本的定義は、無肥料、無農薬です。
①第3世代は「安心・安全」感さらにアップ
化学成分、化学農薬を使わないので、環境、人体には安心です。
②第3世代の問題点-コストの増大-
その代わり、労力は莫大に増えます。
時間的にも環境が整うのに4~10年程かかるようです。
ただこれは正直、農産物に、向き不向きがあるように思います。
向き不向きの基準は、黒字にできるか、赤字になるか、という点での向き不向きです。
私の個人的な意見ですが、農作物は肥料はなくてもそれなりに育つと思います。
ただ、農薬です。
自然栽培に移行する間もそうですが、移行してからも、病気、虫、草への対策です。
その間、もの凄く手間がかかりますし、収益がかなり不安定になると思います。
もちろん農産物によって差異はあります。
何年も生きる木になる果物なら、根の深さも深くなり、丈夫になり、草刈りなどはしやすく農薬は使わずともできるかもしれませんが、野菜や稲は一年以内でダメになり、新たに種まきしますので、その点で全く異なります。
何年も長期的に、土と同時に植物自身を育てることのできる果樹の場合とは違い、お米は特に土を育てるしかありません。植物自体は毎年リセットされます。
稲の場合、根っこの深さの限界もあります。
根から集められる栄養が限られているので、茎の数が少なく、葉も少なく、葉の面積も少ないので、光合成効率が悪く、同じ品種なら、味があっさりになります。
そして当然ながら量もとれません。
自然栽培米では、お米の味で言えば「甘さ」、価格であれば「安さ」を求める事は出来ません。
栄養を与えないで育った、稲本来の味なら感じる事ができ、楽しむことができます。
慣行栽培米、特別栽培米の栽培に携わっている私からすると、自然栽培の稲を見るたび、栄養失調の稲に見え、可哀想に感じてしまします。
「せめてもう少しご飯を食べさせてやりたい」と。
自然栽培の課題として、
【 販売価格 > 生産コスト 】
にできるならいい<ですが、お米は完全に、
【 販売価格 < 生産コスト 】
となります。
意外に知られていませんが、稲作の場合、自然栽培をしようとすると、専用の機械が必要となります。
弊社の場合、農薬を使わない農法も別にしていますので、併用できますが、全体からするとわずかな面積のために、作業機を買ったり、リースしたり、改造するのは、コストがかかり過ぎます。
化粧品やサプリメントは高くても売れますが、お米はお米ですので、価格も限界値がありますので、ここにだけ集中し、ここしか見えなくなると、コストがかかり過ぎ、とんでもないしっぺ返しが来ます。
「コストのかかり過ぎ」に共感を感じる方は、おそらく少なくないと思います。
分かる方はわかる問題点です。
③第3世代の問題点-CO₂の増大-
先ほど「自然農法」のメリットは、
化学成分、化学農薬を使わないので、環境、人体には安心、
といいましたし、
デメリットとしては、
労力は莫大に増えます、
といいました。
でも問題はそれだけではないんです。
畦や、水田内の除草の際、燃料を莫大に使います。
つまり二酸化炭素を空気中にバラまきます。
何でもそうですが、いい面ばかりが強調されて、悪い面はあまり知らされないようになっているるように感じます。
反対に悪い面ばかり言われて、良い面には少しも触れられないこともあります。
昔、「デメリットのないメリットはない」と教えて頂いたことがあり、また、そこを見るようにしていくと面白くなるよ、とも聞かせて頂いたことがあります。
私はお米づくりの作業しながらよく思うのですが、
時代と逆行し、過剰な労力を使い、二酸化炭素をまき散らし、経費を食い散らかす、この農法は、本当に環境に優しい農法なのだろうかと。
労力を増やし、作業中に排気ガスを吸う機会を増やす農法が、人体にはたしていいのだろうか、と。
硝酸態窒素の汚染から土や水を守り、農薬の不安はないですが、気になる所です。
④農薬は本当に悪者ばかり?
悪役にされやすい「農薬」ですが、
農薬といっても今は、
成分が分解されて残らないもの、
使用タイミングを適切にすれば残量農薬の残らないもの
もありますので、「農薬」といっても一口に悪者と言えなくなってきました。
農薬を適切に選ぶことで、逆に環境や人に優しく出来る時代になってきました。
こういった農薬の進化も、大きく紹介して頂きたいものです。
⑤自然農法は勉強になる
ただ、私が「自然農法」が好きなのは、稲を知るうえで、また、お米づくりの技術の勉強になるからです。
稲の基本スペックが分かるので、あとはどれだけオプションを組み合わせられるのかで、自在にコントロールできると思っています。
車と似ていると思います。
どのグレードにするのか。
これがお米の品種選びです。
あとはオプションで何をつけるのか。寒冷地仕様にしようか。コンセントはどうしようか。色はどうしようか。エアロはどうしようか。コーティングはどうしようか。360℃カメラをつけようか。ルーフをつけようか。
これは、お米の栽培方法選びです。
オプションによって、同じグレードの車でも、見た目や趣き、味が変わります。
お米も、同じ品種でも、栽培方法によって、香りや甘み、味が変わります。
そのお米の基本スペックというか、グレードが分かりますので、お米の栽培の勉強になり、そういう点では「自然栽培」は続けていきたい栽培方法です。
⑥自然農法はSDGsとの関りが少ない
ただ、この
◆第三世代「自然農法」:無肥料・無農薬 栽培
は、今の時代、特に稲作の場合、あっているのか、と考えさせられます。
今世界中で取り組んでいる「SDGs」。
自然栽培は、どれだけ貢献できるでしょうか。
食品ロスの削減などやCO2の低減に参加しているのでしょうか。
稲の場合、自然農法だと、収穫量がガクンと減り、そもそも毎年収穫量を安定させることは難しいです。
私が実際に自然栽培に関わっていて感じることは、「自然」のイメージの割に「SDGs」の取り組みに、関りが少ないという事です。
別にSDGsがすべてではありませんが、今、世界中の人が取り組んでいることですし、もっというと小学生も意識して、自分のできることを模索している取り組みです。
狭い視野から広い視野にその幅を広げ、いち米農家として、SDGsや温暖化対策、CO₂削減、食品ロスの低減に関われる農法を模索したいです。
この記事を通して、一緒に考えて頂く機会ともなれば、この記事にも価値があったのかと思います。
そこで、次の世代、第4世代の登場です。
5.第三世代~第四世代へ
そうして今着目されているのが、
◆第四世代「循環農法」
です。
①循環農法とは
「循環農法」に関しましては、詳しくは、過去の記事、
こちらに記載しました。
この記事の中では、いくつかの「循環農法」を紹介しました。
また、日本だけでなく世界の問題である、食品ロスの問題にも触れ、どの循環農法が今の時代に合っているのかも、考えてみました。
目次だけ抜き出すとこのような感じです。
◇◇◇◇◇◇◇◇
【目次】
1.循環型農業
(1)食品ロス(612万トンもの食品が廃棄)
(2)規格外野菜を含めるともっとある食品ロス
2.今の時代と、それぞれの循環型農業
①牛糞、豚糞、鶏糞などを用いた堆肥や肥料
②竹を用いた堆肥や肥料
③ぼかし肥料
④廃棄野菜などの食物残渣を用いた肥料
3.今の時代にあった循環型農業
◇◇◇◇◇◇◇◇
それでは、「循環型農業」とは、何でしょう?
「循環」している農業の事です。
一言で言えば、栄養素を循環している農法です。
収穫時に、莫大な栄養が農産物として、田畑の外に持ち出される。
それを補って、再び栽培が出来るようにする。
それが循環型農業です。
補う栄養として、弱った土壌を回復させる土づくり資材として、家畜の糞尿を使ったり、竹を使ったり、廃棄野菜などの食物残渣を使ったりと、いろいろあります。
②炭素循環農法
その中でも今注目されているのが、「炭素循環農法」というものです。
窒素だけではなく、炭素をも循環させるという農法です。
竹チップや藁などを用い、炭素と窒素を一定の割合で混ぜることが、ポイントであるようです。
そうすることにより、土壌中の微生物(土壌菌)の多様化・活性化を目指し、重点を置いています。
ここでも、「循環農法」のカギは、土壌微生物、つまり土壌菌であることが分かります。
微生物、土壌菌、とりわけ「菌」というと悪いイメージしかありませんが、これからの時代、この「菌」の選定と、活殺が重要かつ大切なポイントになることが、分かります。
土壌菌が、有機物と農産物を繋げてくれるからです。
「炭素循環農法」、今取り組む方が増えている注目の農法です。
ただ、竹を使っても日本の課題の食品ロス、フードロスの低減には貢献できません。
そこで、第4世代の「循環農法」が、この循環農法となります。
6.第四世代「循環農法」:廃棄野菜肥料・減農薬 栽培
食品ロスに削減に貢献できる「循環型」農業はどうあるべきが、好ましいのか。
まずは廃棄されている食品の確認とイメージから。
①食品ロスの実態
(1)612万トンもの食品が廃棄
食品ロス、フードロス、と言葉は聞きますが、一体どれだけのロスがあるのでしょうか。
食品ロスとは、捨てられている食品の事なのですが、大事なのは、「まだ食べられるのに」という所。
ちょっと調べてみました。
農林水産省の平成29年度のデータによると、日本では、年間で、612万トンもの食品が、廃棄されているようです。
問題は、「まだ食べられる状態で」です。
内訳としては、各ご家庭で、賞味期限や、食べ残しで捨てているのが年間284万トンらしいです。
また、製造過程で捨てられているのが、年間328万トンらしいです。
【家庭】284万トン+【製造】328万トン=【まだ食べられる食品ロス合計】612万トン
スゴイ単位で想像もできませんが、莫大であることが分かります。
(2)規格外野菜を含めるともっとある食品ロス
もっと大きな問題は、この中には、出荷前に捨てられている規格外野菜は含まれていません。
つまり、もっと食品ロスがあるという事です。
規格外野菜はどれくらいあるかといいますと、
農林水産省のデータによると平成30年の野菜(41品目)の収穫量は、約1340万トン。実際の出荷量はというと、1150万トン。
その差額は、
【収穫】1340トン-【出荷】1150万トン=【廃棄(推定)】190万トン
この190万トンの中には、個人消費や、一般のルート以外に流れていったものもあるかと思いますから、もう少し減っているかもしれませんが、食品ロスの量を大雑把に推測してみると、
【規格外野菜の食品ロス】190万トン
+【まだ食べられる食品ロス】612万トン
=【食品ロス】802万トン
算出の元データの年度が違ったり、推測の数値だったりで雑な計算ですが、日本では、年間800万トンの食品ロス、フードロスがあるようです。
何にしても単位がすごすぎてイメージがわきませんが、ただ、「このままではいけない」という事は、分かります。
②廃棄野菜を肥料として使おう!
「廃棄野菜」と聞くと、「栄養のない残りカス」みたいなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、そんなことはないんです。
それどころか、すごい、凄いんです!
そうそう、こんなイメージをして頂くとわかりやすいかも。
それは、ドライフルーツ。
干したら、水分は飛んで小さくなり損した気持ちになるけれど、その分旨みと栄養が凝縮されて、一口含むだけで、何とも言えない幸せ感というかエネルギーが口の中を突き抜ける。
野菜も同じ。
廃棄野菜も同じ。
複数の野菜やら果物やらを腐熟させながら、乾燥させるから、とてもジューシーな栄養量とバランスになる。
③食品ロス削減への貢献!
どれだけ食品ロスの削減に貢献できているかというと、
その肥料100㎏作るのに、
◇野菜くず:430㎏
◇米糠 :100㎏
原料の合計は、530㎏です。
それが肥料になると、わずか100㎏になります。
ですので、この肥料を1,000㎏(1トン)作るためには、
◇野菜くず:4300㎏
◇米糠 :1000㎏
原料の合計は、5300㎏です。(5トン)
5トンの野菜といったらかなりの量です。
④農作物同士の「命の継承」!
この肥料を使えば使うほど、
ただ焼却処分をしていただけの野菜が生かされ、次の農作物のエネルギーへと引き継がれます。
野菜の生命力を、次世代の稲に繋げる、「命の継承」。
それが、廃棄野菜を再利用した肥料の凄さであり、価値です。
人の命の大切さは、問題にされます。
人と比べれば、「命」の見え方は違いますが、野菜などにも生命力があります。だから成長します。
私はそのように考え、栽培に臨んでいます。
その野菜や農作物の「命」を、次の命に繋げてあげる。
それが農家の役目でもあると思います。
ただ農作物を作るのでなく、その生命力を次に繋げてあげる。
そのタスキ渡し役、それが農業従事者の本当の役割、使命でないかと思っています。
少なくとも私は農業に携わるうちは、そういう想いでいたいと思っています。
野菜や農作物の「命」。
育つための「生命力」。
育つ間に複雑に行われる「エネルギー」代謝と生産。
降り注ぐ太陽の無限のエネルギーを変換し作り出される「パワー」。
私たちの体を形作ってくれる、その「栄養」。
そんな宝を、ただ焼却処分するのでは、申し訳なさすぎる。
ただひたすらにもったいない。
せっかく生かせる方法があるのに。
方法がないなら仕方がないけれど、方法はあるのだからしない手はない。
⑤廃棄野菜の再利用は、SDGsに貢献!
今、世界あげての環境問題への取り組みが始まりました。
SDGsはその中心の方針となっているように感じます。
その中で、農家である私が出来る事。
それは、食品ロスの削減をし、農作物のエネルギーを循環させ次の農作物に循環させてあげる事。
そのために、私が取り組み始めたのが、
廃棄野菜を再利用した肥料を使ってのお米づくりです。
実はそれだけだけではなく、うちの更なるこだわりとして、やっていることが、
土の中の微生物、土壌菌を改善していくという事です。
疲れ切った土を生き返らせてあげる。
野菜の命を、稲に繋げる、
のと同時に、
生きた土を、次世代の農業従事者に繋げる。
土が変われば、水も変わります。
関連記事ではコチラ。
⑥「野菜が育てたお米」が日本を救う!
ということで、
私にとっての、今できる「真の循環型農業」は、
廃棄野菜を利用した肥料で育てたお米、
「野菜が育てたお米」
です。
野菜とお米を繋げてくれるのが土壌菌なので、
「土壌菌が育てたお米」
でもあります。
こういった栽培方法をすることによって、
農業従事者は栽培を通し「地球環境に貢献」し、
食べて頂いた方も自ずと「環境保全の取り組みに参加」できる、
そういった素敵な関係を築けたらいいなと思います。
7.まとめ
お米の栽培方法が時代とともに、
どのように変わってきたのか、
どのように注目を浴びてきたのか、
これから望まれるお米づくりとは何か、
というポイントに着目して、端的にまとめてみたのが次の4つの世代です。
(あくまで私個人の見解です)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【求められた4つの世代】
◆第一世代「化学農法」:化学肥料・農薬 栽培
◆第二世代「有機農法」:有機肥料・無農薬 栽培
◆第三世代「自然農法」:無肥料・無農薬 栽培
◆第四世代「循環農法」:廃棄野菜肥料・減農薬 栽培
【誰に求められたのか?】
◆第一世代「化学農法」:人に求められた
◆第二世代「有機農法」:人に求められた
◆第三世代「自然農法」:人に求められた
◆第四世代「循環農法」:いま、世界が求めている
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年代のイメージ的には(私個人の見解です)
◆第一世代「化学農法」:1950年頃(トトロの時代)
◆第二世代「有機農法」:2000年頃(シドニー五輪)
◆第三世代「自然農法」:2010年頃(なでしこジャパン「W杯優勝」)
◆第四世代「循環農法」:2022年以降(SDGs)
私が10年ほど前から「できたらいいな」と構想していたもので、SDGsを意識して組み立てた農法ではありませんが、廃棄野菜を再利用した肥料を用いる「譲る米」農法は、食品ロスを削減できる立派な「循環型」農業だと、思っています。
ただ焼却処分されていた廃棄野菜。
生ごみは焼却処分されるとき、二酸化炭素と、ダイオキシンを発生させます。
空気汚染させます。
食品ロスを再利用という形で有効活用し、その「生命力」を次の食糧へと繋げ、空気汚染まで削減する。
化学肥料を使わないので、硝酸態窒素の土壌汚染を防ぎ、マイクロプラスチックも、川はもちろん海へも流出させません。
全体の量からすると、まだまだで、スズメの涙以下の貢献具合です。
だけれども、この挑戦は価値ある一歩と思っています。
今の自分にできる事。農業従事者としてできること。
世界の環境、というとスケールが大きすぎるので、まずは日本から、それでも大きいので、まずは石川県から。
その環境と食を守り、貢献していきます。
ですので、あえてタイトルを
第4世代のお米「循環農法」=「譲る米」。
としたのは、そういう想いがあったからです。
応援して頂けたら嬉しいです。
どうか今後ともよろしくお願い致します。
そんなSDGsの取り組みに関われている、ドキドキするような夢いっぱいのお米はコチラです。
【譲る米(コシヒカリ)】
「えっ!これもコシヒカリ?」と驚かれます。
【譲る米『夢』(夢ごこち)】
炊き立ても、冷めても、2度美味しい不思議なお米。
「えっ、冷めてから食べるとまた別の美味しさがある!本当に同じお米?」
そのモッチリ感、旨み、一度食べると抜け出せなくなります。
「コシヒカリ」と「夢ごこち」を交互に食べられる方も多いです。
「コシヒカリ」5㎏食べたら「夢ごこち」5㎏食べて、また「コシヒカリ」5㎏食べる、というようにです。
(私もその一人です)
ぜひ一度お試しを! そして、楽しい米活を!
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written by てぃ
こんにちわ。
趣味で野菜を作りたいといろいろと考えています。
そのまま食べても甘いニンジン。
軽く焼いて食べるだけで美味しいピーマン。
だしをかけてレンジでチンするだけで美味しいオクラ。
トロトロの液のでる下仁田ネギ。
とれたてをその場で丸かじりが最高のキュウリ。
そんな思いを巡らしながら日々お米づくりを勉強しています。
「もっとお米のことを考えろっ!」!って叱られそうですが、
美味しい野菜と、美味しいご飯の組み合わせって、最高の栄養源、元気の源って感じがしません?
そんな私が、日常の日々の中で見たこと、思ったことなどを皆さんにご紹介させて頂ければなぁと思っています。
こうやってお米って作られるんだぁ、農家の人っていっつもどんな事してるんだろう?
へー、こんなこともしてるんだぁ!
そういう新たな一面というか、そういう驚き?のきっかけになって頂けたらと思います。
これからもよろしくお願いします。
そんな私が働く「ばんばのお米」のホームページは
コチラ↓
「ばんばのお米」ブログはコチラ↓
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その中の私の記事はコチラ↓ みてね♪
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