一度冷えたお米は、レンジでチンして、炊き立てに戻るのか?

Q.一度冷えたお米は、レンジでチンして、炊き立てに戻るのか?

A.「炊き立てには戻らない」と思われます。

すみません。今回の質問は、よくある質問ではなく、私が個人的によく考えていたことです。

色々調べてみたのですが、レンジでチン程度ではもとに戻らないと、結論にたどり着きました。

順番に解説していきたいと思います。

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【目次】
1.「生米」には2通りある。「なまごめ」「きごめ」
2.「白米」の成分は、「でんぷん」だけではない。意外にたくさんある。
3.「でんぷん」「デンプン」?頭が「ちんぷん、かんぷん、でんぷん!」
4.「デンプン」「炭水化物」「糖質」「盗塁」の違いって?
(1)【炭水化物】は2通りに分けられる。
(2)【糖質】はさらに2通りに分けられる。
(3)【糖類以外の糖質】に「デンプン」は分類される。
5.「デンプン」の正体って?
6.【糖類以外の糖質】と【糖類】には、決定的な違いがある。
7.実は「デンプン」といっても2種類ある。
(1)「βデンプン」
(2)「αデンプン」
(3)「αデンプン」が「βデンプン」へ戻っちゃう。
8.一度冷えたお米は、レンジでチンして、炊き立てに戻るのか?
(1)水分が抜けている。
(2)再加熱の加熱が足りない。
(3)お米自体が酸化して劣化している。
9.例外的に、βデンプンに戻りにくい、冷めても美味しいお米がある。
(1)「アミロペクチン」
(2)「アミロース」

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1.「生米」には2通りある。「なまごめ」「きごめ」

炊く前のお米というか、調理前のお米を「生米(なまごめ)」といいます。

「なまごめ、なまむぎ、なまたまご」の早口言葉のあれです。

ちなみに同じ漢字で「生米」と書いても「きごめ」と呼ぶ場合があります。

これは、精米していないお米、玄米の事です。

今回は、調理前の「なまごめ」の意味合いで、「生米」と使います。

2.「白米」の成分は、「でんぷん」だけではない。意外にたくさんある。

「お米の主成分は?」と聞かれて、「でんぷん」と答える人は多いと思います。

それほど有名で、よく知られています。

お米の栄養は主にデンプン

ときどき誤解があることですが、お米の栄養はでんぷんだけではありません

白米の状態でも、バランスよく色々な栄養が含まれています

過去の記事はコチラ↓

お米って太るって聞くけど、ホントなの? だからパンや麺を食べるようにしてたんだけど。

以下引用文です。

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【ご飯茶碗一杯分(150g)】

■糖質(炭水化物) 55.7g

人体における主要なエネルギー源。血液と一緒に全身をめぐる。

1g当たり約4キロカロリーのエネルギーとなる。

じゃがいも3個分(316g)に相当。

■脂質 0.5g

ホルモンや細胞膜の構成成分。

糖質を優先的にエネルギー源として消費するが、不足すると脂質をエネルギー源とする。

1g当たり約9キロカロリーのエネルギーとなる。

(これは糖質やたんぱく質よりも2倍効率よくエネルギーを作り出すということ)

バターなどの使用状況にもよりますが、1斤の食パンが370gとすると、5枚切りの1枚をさらに1/7にしたもの(11g)に相当。

■たんぱく質 3.8g

筋肉、髪、爪を作ったり、ホルモンや酵素、免疫機能にも関係する。

糖質を優先的にエネルギー源として消費するが、不足するとたんぱく質をエネルギー源とする。

1g当たり約4キロカロリーのエネルギーとなる。

人体の約60%は水分、約20%はたんぱく質で構成される。

牛乳ではコップの半分(110ml)に相当。

■カルシウム 5mg

骨や歯に含まれ、カルシウムイオンとして血液や筋肉、神経内にある。

体内(成人)に約1㎏存在する。

コップ一杯の牛乳(200ml)にはカルシウム220㎎が含まれるので、小さじ1杯(5ml)に相当。

■亜鉛 0.9mg

骨、歯、筋肉、肝臓、腎臓に含まれ、ホルモンや酵素、免疫、体の成長・維持に関係。

亜鉛は体内で生成できない「必須微量ミネラル」で、体内に約4g存在する。

ブロッコリー1/2個分(130g)に相当。

■食物繊維 0.5g

便秘の予防、整腸効果、血糖値の上昇の抑制、血中コレステロール濃度の低下に関係。

キャベツ1玉が1㎏とすると、その1/10は100g。その100g中には食物繊維が1.8gあるから、さらにその1/3の30gに相当。

分かりやすく言うと、コンビニのカットキャベツが1袋150gだから、その1/5に相当。

もっというと、キャベツの葉1枚の2/3くらい

■鉄分 0.2mg

全身に酸素を運ぶ役割の赤血球の材料。不足すると貧血になる。

体内に約4g存在する。

ほうれん草の葉でいうと約2枚分(7.5g)に相当。

■ビタミンB1 0.03mg

糖質を燃やしてエネルギーを生み出す時に必要で、補酵素として働く。

キャベツの葉でいうと約1.5枚分(75g)に相当。

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という事で、話をもどしますが、主な栄養分は「デンプン」です。

3.「でんぷん」「デンプン」?頭が「ちんぷん、かんぷん、でんぷん!」

ここでこんな疑問が出てきます。

「でんぷん」「デンプン」どちらが正しいの?

なんだか、頭がこんがらがって、ちんぷん、かんぷん、でんぷんになってきます。

どうやら小学生の教科書では「でんぷん」

中学生以上の教科書には「デンプン」と書かれている場合が多いそうです。

ということで、これよりは「デンプン」で統一したいと思います。

ところが、ここで???が頭をよぎります。

4.「デンプン」「炭水化物」「糖質」「盗塁」の違いって?

「デンプン」「炭水化物」「糖質」「盗塁」では、何がどう違うのか。

すみません。一つ変なものが、紛れ込んでいました。

「盗塁」ではなく、「糖類」です。

改めて、「デンプン」「炭水化物」「糖質」「糖類」では、何が違うのか。

ざっくりシンプルに進めます。

栄養を語る時に、まず出てくるのが、「三大栄養素」の、

「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」です。

================

(1)【炭水化物】は2通りに分けられます。

   【糖質】と【食物繊維】です。

(2)【糖質】はさらに2通りに分けられます。

   【糖類】と【糖類以外の糖質】です。

(3)【糖類以外の糖質】に「デンプン」は分類されます。

================

これを頭にイメージして頂いて、進めます。

(1)【炭水化物】は2通りに分けられる。

【炭水化物】のほとんどは【糖質】なので、

【糖質】≒【炭水化物】で、ほぼOKのようです。

ただ例外として、こんなものがあります。

こんにゃくです。

こんにゃくの【炭水化物】は、内訳をみると

【糖質】がほぼなく、

【食物繊維】がそのほとんどです。

だからこんにゃくの栄養を聞かれたらこう説明します。

「こんにゃくは【炭水化物】を含んでいますが、【糖質】はほとんどなく、【食物繊維】ばかりです」

【食物繊維】は、消化されないので、カロリーもほとんどありません。

「こんにゃくに含まれる【炭水化物】は、【食物繊維】がほとんどで消化されず、【糖質】もないので、カロリーもほとんどありません」

この方が分かりやすいでしょうか。

(2)【糖質】はさらに2通りに分けられる。

【糖類】は、ブドウ糖、加藤、佐藤などの甘味です。

おっと、これもいろんな人が混ざってしまいました。

もう一度。

【糖類】は、「ブドウ糖、麦芽糖、果糖、砂糖」などの甘味です。

【糖類以外の糖質】とは何か?は次の項目で。

(3)【糖類以外の糖質】に「デンプン」は分類される。

【糖類以外の糖質】は、「デンプン」です。(デンプンがほとんどです)

「えっ?どういうこと?」と驚きです。

5.「デンプン」の正体って?

実は「デンプン」それ自体は、甘くないんです。

「ブドウ糖、麦芽糖、果糖、砂糖」はそれ自体が甘いですので、【糖類】です。

「デンプン」はそれ自体が甘くないから【糖類以外の糖質】です。

なぜ甘くないかというと、そのままでは吸収できないからです。

【糖類】ではあるものの、鎖状に固まっているので、ガチガチで大きくて、分解できないから、吸収もされません。

分解して、その鎖から解き放てれば、「デンプン」は【糖類】になれます。

だからこういう有名なセリフがあります。

「あの【デンプン】を解き放て!あの【デンプン】は【糖類】だ!」

分解し解き放つことを【消化】といいます。

「!!!」と閃いた方がいると思います。

「しょうか、しょうか」と手を打って納得されていることだと思います。

その【消化】をしてくれるのが【消化酵素】です。

そう、口に入れてお米を噛むと、【消化酵素】アミラーゼを含んだ唾液によって【消化】され、「デンプン」が【麦芽糖】マルトースという【糖類】に分解されます。

つまり、【糖類以外の糖質】である「デンプン」も最終的には、【糖類】となって吸収されますが、【糖類以外の糖質】と【糖類】には、決定的な違いがあります。

6.【糖類以外の糖質】と【糖類】には、決定的な違いがある。

【糖類】は、消化酵素による消化過程が必要ないので、すぐに吸収されてしまいます。

そうすると、急激に血糖値を上げてしまいます。

【糖類以外の糖質】は、消化酵素による消化過程が必要なので、すぐに吸収されません。

そのため、ゆっくりと緩やかに血糖値が上がります。

言葉を変えると、

「ブドウ糖、麦芽糖、果糖、砂糖」は、急激に血糖値を上げてしまいます。

対して、

「デンプン」は、ゆっくりと緩やかに血糖値が上がります。

そのため、「デンプン」と「砂糖」は、どちらも【糖質】ですが、砂糖の方が体に悪い(血糖値に悪い)と言われるのは、こういった事からです。

「お米は太るから、ご飯は食べない」と、認識している人が増えていますが、このことを知ると、「お米」、「ご飯」の言葉の重さ、認識が変わると思います。

粉から作られるパンや麺よりも、同じ理由で、体に優しいです。

しかも「ご飯」の方が腹持ちもいいですし、間食が減る傾向にあるようです。

太るのは、お米が悪いわけではありません。

「食べる量」と「運動して消費する量」のバランスが悪いからです。

何にしたって、食べ過ぎは体によくありません。

聞いた話ですけれども、「亀は万年、鶴は千年」という古い言葉がありますが、長寿の象徴とされる鶴の胃袋の中は、いつも腹八分よりも少なかったようです。

江戸時代の貝原益軒も「養生訓」の中に、

「飲食を少なくして胃を養い」

「珍美の食に対すとも、八九分にてやむべし。十分に飽き満つるは後の禍あり。少の間、欲をこらゆれば後の禍なし」

など書かれています。

「腹八分」がよいというのは、ここにも由来のもとがあるようです。

決して、自身の「食べ過ぎ」の責任を「お米」になすりつけてはいけないと思います。

けれど、分かるんです。

美味しいお米は、米だけでも、何杯でも食べちゃいますから。

そういった意味では、「お米」は罪作りな奴ですよね。

7.「甘く感じる」デンプンと、「甘く感じない」デンプン。

炊きあがったお米を食べると、噛めば噛むほど甘く感じますが、

実は、調理前の「生米」を、噛んでも甘味は感じません。

という事は、「デンプン」には2種類あるという事です。

「甘く感じる」デンプンと、「甘く感じない」デンプン。

◆「甘く感じない」デンプンは、「β(ベータ)デンプン」

◆「甘く感じる」デンプンは、「α(アルファ)デンプン」

ということは、お米を美味しく食べるポイントは、いかに効率よく少しでも多くの「βデンプン」を「αデンプン」に転換できるか、にあります。

「αデンプン化」と「食感」、この2つを同時に究めるために、今の炊飯器はたくさんあります。

炊飯器がたくさんあって、選びにくいかもしれませんが、「αデンプン化」と「食感」の最大限探求するに、その価値観は、メーカーごと、また、お米の品種によっても異なりますので、炊飯器といっても、1万円~15万円など、価格に幅があります。

とはいっても、「βデンプン」「αデンプン」といってもちんぷん、かんぷん、デンプン、にこにこぷん!となってしまいますので、その仕組みを紹介したいと思います。

(1)「βデンプン」

調理前の「生米」は、「β(ベータ)デンプン」の状態です。

「β(ベータ)デンプン」の状態は、デンプン分子が、隙間なく規則的に並んでいて、硬くて水に溶けにくい状態です。

この状態ですと、あまりにも硬すぎて、唾液に含まれる「消化酵素アミラーゼ」でも消化分解できません。

ですので、「生米」を頑張ってカミカミしても、甘くは感じません

(2)「αデンプン」

その「βデンプン」状態の「生米」に、水を吸わせ、加熱すると、なんと、柔らかくなり適度な粘りも出てきます

そうなって初めて、ようやく唾液に含まれる「消化酵素アミラーゼ」で消化分解できるようになります。

炊きあがったお米、つまりご飯が噛めば噛むほど甘く感じるのは、そのためです。

その状態のデンプンを「αデンプン」といいます。

そうなる過程の事を「デンプンのα化」といいます。

「どこかのアルパカ」ではありませんので、お間違えの無いようにお願いします。

(3)「αデンプン」が「βデンプン」へ戻っちゃう。

何とこの「αデンプン」、冷めると「βデンプン」へ戻っちゃうんです。

再β化と言われるそうで、デンプンの老化とも言われるようです。

冷めたお米はパサパサ感がでて、硬く感じます。

デンプン分子の隙間がなくなり、水分も追い出されてしまうからかもしれません。

また、甘みが少なくなったように感じます。

消化酵素アミラーゼで分解できるαデンプンの量が、減ってしまうからです。

8.一度冷えたお米は、レンジでチンして、炊き立てに戻るのか?

ようやく今回のテーマに戻ってきました。

再度β化したデンプンは、はたして、レンジをチンした程度で、炊き立てと同じαデンプンの状態に戻るのでしょうか?

言葉を変えれば、

「冷えたご飯をレンジで温め直して、炊き立てと同じ美味しさに戻るのか」という事です。

この答えはおそらくは、

「一部はαデンプンに戻るけど、一部は戻らない」

だと私は思います。

炊き立てに戻れない原因は主に3つ。

(1)水分が抜けている。

(2)再加熱の加熱が足りない。

(3)お米自体が酸化して劣化している。

だと思います。

一つずつ見ていくと、

(1)水分が抜けている。

ラップをして温め直したところで、すでに全体の水分が減っている。

水分を足したところで、下の方がべちゃつくくらいで、均一に水分がいきわたらない。

(2)再加熱の加熱が足りない。

水を足して炊飯器で同じように炊いたところで、お米の表面が2度目の炊飯に耐えられず、溶けてしまい、べちゃべちゃ感が出てしまうと思います。

(3)お米自体が酸化して劣化している。

一度冷えたお米は黄ばみやすいですが、黄ばみまでは戻らない。

つまり、品質的に、劣ってしまったから。

この様な理由から、

「一度冷えたお米は、レンジでチンして、炊き立てに戻るのか?」

については、

「炊き立てと同等には、戻らない」

という事に帰着しました。

9.例外的に、βデンプンに戻りにくい、冷めても美味しいお米がある。

それはズバリ、もち米です。

赤飯などは、冷めても美味しいのはこのためです。

(1)「アミロペクチン」

これはお米の何に関係しているかといいますと、

もち米に含まれるデンプンの成分、「アミロペクチン」です。

もち米のデンプンの成分は、そのほとんどが「アミロペクチン」です。

アミロペクチンはβデンプンに戻りにくい性質があります。

アミロペクチンは「粘りが強い」性質を持っています。

ですので、もち米は「お餅」になります。

(2)「アミロース」

日常食べるお米である「コシヒカリ」などは、「もち米」に対し「うるち米」と呼ばれます。

「うるち米」は、約20%がアミロース、残り80%がアミロペクチンです。

この「アミロース」、冷めると「βデンプン」に戻りやすい性質があります。

ですので、一般的な「うるち米」は、冷めると美味しくなくなる傾向にあります。

この「アミロース」、品種特性として違いがあり、さらにはその年の気温や日射量で2~3%変動するらしいので、一概には比較はできません。

気温が適度に高く、日射量が多いと「アミロース」含有量が少なくなります。

ということは、その分「アミロペクチン」が増え、もっちり感、粘りが増します。

とは言え、参考にいくつか紹介します。

【アミロースの含有率】

◆ササニシキ、ななつぼし、きらら397     :20~24%

◆コシヒカリ、あきたこまち、つや姫、ひとめぼれ:17~19%

◆ミルキークイーン、ゆめぴりか、夢ごこち   :17%以下

人気の高いコシヒカリの、「アミロース」含有量は19%程です。

≪参考記事≫

農林水産省:お米のおいしさの決め手は何ですか。

コシヒカリを基準に、よりもっちり感が好きな方は、それよりも「アミロース」含有率の低いお米を一度食べてみてもいいかもしれません。

弊社では、「アミロース」含有率が低いだけではなく、美味しさの基準の一つともいえるタンパク質の低めの『夢ごこち』を育てています。

一般的にお米は、タンパク質が少ない方が美味しいといわれます。

種は高く、栽培は難しいものの、美味しく食べることを考えれば、とてもバランスのいいお米だと思っています。

その「夢ごこち」を特別栽培米の基準で育てたもの

さらに、それより農薬の使用回数を減らした「譲る米『夢』」もご用意しております。

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せっかくなので、ぜひこの機会にお試しください!

毎日のご飯、せっかくの食事、その時その時、楽しみたいですね♪

楽しい「米活」を!

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