エンゲル係数が高いのはイヤですか

親譲りのアマノジャクで子供のときから損ばかりしている。北といわれれば南といい、西といわれれば東という。そんな性格は嫌われるので直しましょう。と思いつつなかなか治らない。そんなわけで、少し前に、こんな記事がありまして。「物価上昇に収入追いつかず エンゲル係数“異常上昇”の仰天(日刊ゲンダイDigital)」。記事の内容をざっくりいうと、天候不良で国内産野菜が高騰したのと円安のせいで輸入食品が高くなり、エンゲル係数が大きくなったと。また他の記事、「さらに貧困化する日本人。「エンゲル係数急騰」本当の理由=内閣官房参与 藤井聡」でも、消費増税により収入が実質的に減少したのでモノを買わなくなったが、食品は買わないわけにいかないからエンゲル係数が高くなったと述べています。「どうしてそうなったか」の部分は違うもののどちらもエンゲル係数が高まりつつあることを指摘しています。エンゲル係数というのは、家で使うお金のうち食べ物に使う分の割合で、これが高いと貧乏なのだと中学校で習いました。でもね。エンゲル係数が高いから貧乏かといえば、そうかもしれないぐらいには思うのですが、その反対の「低ければ豊か」となると、もうぜんぜん納得いきません。
話がとびますが、アメリカでは、肥満の割合が人口の36%におよびます。収入の低い層で特に肥満の割合が高いそうです。その理由は、安くてカロリーの高い食べ物、つまり炭水化物中心の食事。こうした食品は、ビタミンやミネラルなどの栄養素があまり含まれません。このため、肥満なのに栄養不足という大変ゆうりょすべき状態です。アメリカのエンゲル係数は20%を切る値です。もちろん、食生活がぜんぜん違いますから、単純な比較は意味がないけど、日本のエンゲル係数がそれぐらいまでぐぐぐっと下がったとき、それが豊かになった証だといわれたら、はなはだ疑問です。
カロリーは足りているのに栄養失調というのは、日本でも実は増えています。肉を好まなくなった高齢の方に特に多いようですが、若い世代でも隠れ栄養失調が増えています。主な原因は、アメリカと同じように、炭水化物ばかり食べ必要な栄養をとっていないこと。そういえば、自分もそうめんばっかり食べてなたあ、昔。コンビニおにぎり、菓子パン、カップラーメン。安くて手っ取り早いから、一人暮らしや忙しい人はそれですませてしまいがちです。その上、支出を抑えたいとなれば、から揚げも食べたいなと思っても我慢してしまう。これからの日本を背負って立つ若いものが云々と説教のひとつもぶちたくなりますね。つまり、栄養のない安いものを食べて食費を下げ、それ以外の消費を増やすのが豊かなのかねと。
結局のところ、エンゲル係数は食べ物の質と価格の関係には無頓着です。安くて栄養が少ないとさっき言いましたが、高いから栄養が多いということもありません。たとえば、玄米を精米にするには、コストがかかり値段があがります。でもヌカをとるってことは、ビタミンB群を取り去ることなので、栄養価の面だけでいえば劣化したことになります。

img161.png
こんな装置があればよいのですが

体を動かすためにちゃんと役立つ。これが食べ物にとって重要な「使用価値」であることを否定する人は少ないと思います。しかし、食べ物が豊富にあるこの時代、自分に必要な食べ物を見定めるには多少の知識が必要です。さらに、最近はいろいろまがい物も出回っているので、ちゃんと食べるということがけっこう難しくなりました。かたや、価格というのはとてもとてもわかりやすいです。食べ物について言えば、同じ種類で、同じ重さなら、安い方を手に取りますよね、絶対。でも、もし、「こちらは100円安くなっていますが、ビタミンB1が半分です。」と書かれていたら、ちょっと考えるでしょう?食べ物を選ぶときそれこそが必要な情報です。でもそんなことは書いてない。それじゃ選びようかないじゃないか!もっと情報を出すべきだし、それはメーカーの責任なわけです。と、なんだかブーメランが戻ってきてしまいましたので、今回はこの辺で失礼しようと思います。